Google Tensor G5の性能をベンチマーク測定によって検証しました。
概要
Google Pixel 10 に搭載されるGoogle Tensor G5は、テンサーシリーズ5代目のチップセットで、最先端の半導体プロセスとなるTSMC 3nmで製造されたことがアピールされており、性能の向上と効率性の改善を実現しているとしています。
またグーグルによれば、昨年に登場したGoogle Pixel 9シリーズに使用されたTensor G4に比べて、AI処理を行うTPUの性能が最大60%、CPU性能は平均34%高速化したとしており、ウェブ ブラウジングや最新の AI 機能など、日常的な使用における応答性の向上に重きを置いているとのことです。
一方でGPUは他のチップセットでは見かけないIMG PowerVR DXT-48-1536が採用されており、その実力に注目が集まっています。
搭載機種
Google Tensor G5 は、2025年発売のGoogle Pixel 10シリーズに採用されました。
- Google Pixel 10
- Google Pixel 10 Pro
- Google Pixel 10 Pro XL
- Google Pixel 10 Pro Fold
2026年に発売されるであろうGoogle Pixel 10aにも採用されると考えられます。
仕様
▼判明している範囲です。
Google Tensor G5 | |
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製造 | TSMC 3nm N3P |
アーキテクチャ | arm v9 |
リリース | 2025/08 |
チップセット内訳 | |
CPU | 1x Cortex-X4@3.78GHz 5x Cortex-A725@3.05GHz 2x Cortex-A520@2.25GHz |
GPU | IMG PowerVR DXT-48-1536 |
NPU | Tensor Proccecing Unit(TPU) |
Tensor G4は1+3+4のオクタコア構成でしたが、Tensor G5 ではミドルコア数が増えた1+5+2に変わっておりマルチコアパフォーマンスの向上が図られています。
CPUのプライムコアはCortex-X4が使われていて、これはTensor G4と同じですがクロック周波数が3.10GHzから3.78GHzに向上しています。一方でミドルコアは最新となるCortex-A725に刷新されているようです。
ベンチマーク(AnTuTu他)
測定は Pixel 10 無印(256GB)で行っています。
Proモデルとは冷却性能の違いから多少の前後があること、また無印同士であってもストレージサイズによる違いがあることをご理解ください。
ストレージベンチマークは下の記事で測定しました。

AnTuTuベンチマーク
AnTuTu Ver10.5.2で計測。
- CPU:292228
- GPU:393859
- MEM:216115
- UX :185762
総合ベンチマークスコアは1087964点でした。ハイエンド級のCPUが採用されている事実を踏まえて評価すると、かなり低めのスコアだと思います。本体バッテリー温度は40℃を超えた場合にサーマルスロットリングがかかっているようなので、スコアが思ったより伸びません。
比較 | AnTuTu 10 総合スコア |
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Google Tensor G5 | |
Snapdragon 8 Gen 1 | |
Snapdragon 8 Gen 2 | |
Snapdragon 8 Gen 3 | |
Google Tensor G4 | |
Snapdragon 8s Gen 4 | |
Snapdragon 8 Elite |
冷風を当てながら冷却して測定するとスコアは135万点を超えました。CPUもGPUも40万点を超えており比較的良好なスコアです。40度を超えなければ本来のパフォーマンスが出るのだと思われます。
AITuTu
AnTuTuベンチマークのAI性能を測定するAITuTu v3.5.6を測定しました。
結果は62512点でした。
AITuTuベンチマークはSnapdragon以外のチップセットではあまり高く出ないので参考値程度ですが、同じシリーズのGoogle Tensor G4 は 111518点でその半分ぐらいしか出ていません。
Google自身はAI処理能力が最大60%向上としていますが、今のところその兆候は見えませんでした。
Geekbench 6
CPUおよびGPUの性能が測定できるGeekbench 6 の結果です。
CPUはシングルスコア性能が優秀で、Snapdragon 8 Elite以外のチップセットを上回っており、Tensor G4からは40%程度向上しています。マルチスコアはいまいちな結果でした。
比較 | Geekbench 6 CPU |
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Snapdragon 8 Gen 1 | |
Google Tensor G4 | |
Snapdragon 8 Gen 2 | |
Snapdragon 8 Gen 3 | |
Snapdragon 8s Gen 4 | |
Google Tensor G5 | |
Snapdragon 8 Elite | |
一方でGPUスコアはTensor G4の半分未満でかなり低かったです。ソフトウェア上の問題なのかよくわかりませんが、最適化が待たれます。
比較 | Geekbench GPU Vulkan |
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Google Tensor G5 | |
Snapdragon 8 Gen 1 | |
Snapdragon 8 Gen 2 | |
Snapdragon 8 Gen 3 | |
Google Tensor G4 | |
Snapdragon 8s Gen 4 | |
Snapdragon 8 Elite |
3DMark
グラフィックスコアを測定する定番のベンチマークです。
Android OSのWild LifeはいずれもVulkan APIでのスコアです。低負担版のWild Life Unlimitedと高負荷のWild Life Extreme Unlimitedで計測しています。
いずれも正常に測定できており、IMG PowerVR DXT-48-1536の性能の実態としてはSnapdragon 8 Gen 2(Adreno 740)よりもちょい下ぐらいでした。
比較 | Wild Life Unlimited |
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Snapdragon 8 Gen 1 | |
Snapdragon 8 Gen 2 | |
Snapdragon 8 Gen 3 | |
Dimensity 8350 | |
Google Tensor G5 | |
Snapdragon 8 Elite |
比較 | WL Extreme Unlimited |
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Snapdragon 8 Gen 1 | |
Snapdragon 8 Gen 2 | |
Snapdragon 8 Gen 3 | |
Dimensity 8350 | |
Google Tensor G5 | |
Snapdragon 8 Elite |
PCMark
PCMark Work 3.0 performanceを測定します。ウェブ閲覧、ビデオ・写真編集、書類やデータの作成など総合的な動作を測定するベンチマークです。
15157点でした。Tensor G4とほぼ同じか低いぐらいです。
ブラウザベンチマーク
ブラウザ上のベンチマークです。いずれもChromeバージョン138で実行しました。
Google Octane 2.0ではシングルスコア85885点を記録しました。マルチスコアの計測も可能なGoogle Octane plus ではシングルスコア83440点、マルチスコア420853点でした。
他のデバイスとの比較です。Snapdragon 8 Elite以外には優位に経っており、ブラウジングスコア自体は相当高いと言えます。
AnTuTu HTML5、Speedometer3.1、WebXPRT4、Jetstream2のスコアです。
- AnTuTu HTML5:96849
- Speedometer3.1:22.0
- WebXPRT4:176
- Jetstream2:227.321
ブラウザベンチマークは全体的にスコアが優秀で、トップクラスのSnapdragon 8 Eliteに近いパフォーマンスを実現していました。

まとめ
TSMCの最先端プロセスを用いて製造されることから、大きな性能の向上に期待が寄せられていましたが、現時点ではイマイチ奮わない結果となりました。
GPUはイマジネーション・テクノロジーズ社のPowerVR DXT-48-1536を採用しますが、ARM-Mali GPUを採用していた過去世代よりもパフォーマンスの低下が見られます。
一方でGoogleが掲げる快適なWebブラウジングという点では、高いパフォーマンスを記録しており確かにその通りの結果が得られています。日常的な動作の実用性においては素晴らしいチップセットです。


ベンチマークの提供:https://benchmarks.ul.com/
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