7月2日に英Nothing社から「Nothing Phone (3)」が発表されました。同社のフラグシップモデル3代目に当たるスマホで、前回のNothing Phone (2)から2年間隔となりました。
2年ぶりのフラグシップモデルなだけあって、大幅な性能向上、望遠カメラの搭載など、その間に登場した廉価モデルのNothing Phone (2a)やNothing Phone (3a)との差別化点となる様々な更新が見られます。
今のところ日本での発表はありませんが、国内でも発売予定です。
詳細なスペック
▼現段階で判明しているものをまとめました
基本情報 | |
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機種名 | Nothing Phone (3) |
メーカー | Nothing |
発売日 | 2025/07/15 |
プロセッサー | |
SoC | Qualcomm Snapdragon 8s Gen 4(TSMC 4nm) |
CPU | 1x Cortex-X4@3.2GHz 3x Cortex-A720@3.0GHz 2x Cortex-A720@2.8GHz 2x Cortex-A720@2.0GHz |
GPU | Qualcomm Adreno 825 |
NPU | Qualcomm Hexagon |
メモリ情報 | |
構成 | 12GB/256GB 16GB/512GB |
メモリ | LPDDR5X |
ストレージ | UFS 4.0 |
外部ストレージ | – |
ディスプレイ | |
画面 | 6.77インチ/フレキシブルAMOLED 解像度2800×1260/20:9/460dp Corning Gorilla Glass 7i |
明るさ | 800nit/屋外1600nit/ピーク輝度4500nit |
リフレッシュレート | 可変120Hz タッチサンプリングレート1000Hz |
外観 | |
本体素材 | フレーム:耐指紋再生アルミフレーム 背面素材:Corning Gorilla Glass 7i |
サイズ | 160.60 x 75.59 x 8.99 mm |
重さ | 218 g |
カラー | ホワイト / ブラック |
カメラ | |
メインカメラ | 50MP, F値1.68, センサーサイズ 1/1.3, 光学手ブレ補正 2倍ロスレスズーム |
超広角カメラ | 50MP, F値2.2, センサーサイズ1/2.76, 画角114° |
望遠レンズ | 50MP, F値2.68, センサーサイズ1/2.75, 光学手ブレ補正 光学3倍ズーム / 6倍ロスレスズーム / 60倍ズーム / マクロ撮影 |
動画撮影 | 4K@30fps/60fps, 1080p@30/60fps 4K,1080p@120fpsスローモーション Ultra XDR |
インカメ | 50MP, f/2.0 動画撮影:4K@30fps/1080p@30,60fps |
バッテリー | |
容量 | 5150 mAh |
充電 | 最大65W 急速充電 PPS / USB-PD 2.0, 3.0 / QC 2.0 – 4.0 / UFCS 逆充電7.5W |
ワイヤレス | 最大15W / 逆充電5W |
通信機能 | |
ネットワーク | Wi-Fi 7 / Bluetooth 6.0 |
SIM | nanoSIM x2/ eSIM |
5G バンド帯 | n1 /n2 /n3 /n5 /n7 /n8 /n12 /n20 /n25 /n28 /n30 /n38 /n40 /n41 /n48 /n66 /n71 /n77 /n78 |
4G バンド帯 | B1 /B2 /B3 /B4 /B5 /B7 /B8 /B12 /B17 /B18 /B19 /B20 /B25 /B26 /B28 /B30 /B34 /B38 /B39 /B40 /B41 /B42 /B48 /B66 |
3G バンド帯 | B1 /B2 /B4 /B5 /B6 /B8 /B19 |
おサイフケータイ | 対応 |
その他 | |
スピーカー | ステレオ |
USB | USB-C |
防水・耐久 | IP68 |
生体認証 | 顔/指紋(画面内) |
サポート | |
OS | Nothing OS 3.5 / Android 15 |
アップデート保証 | 5年間のAndroid OSアップデート 7年間のセキュリティパッチ |
付属品 | ケース / 保護フィルム貼り付け済み USB-Cケーブル(1m) / SIMピン |
デザイン
デザインは環境に配慮した再生素材が多く利用されており、使用は総重量の約17.6%になるといいます。
背面は個性的なスケルトンでメカニカルな仕様が露出しており、カメラ配置は芸術家的センスで独創的です。相変わらず攻めています。トリプルレンズの他にドット絵を表現する「Glyphマトリックス」と言われる丸型ディスプレイが備え付けられており、GLYPHインターフェイスに用いられます。
▼カラーは2色です
サイドボタンは正面右に電源とEssentialボタン、正面左に音量キーです。Androidの標準とは違います。
Glyphインターフェース
背面についているGlyphマトリックスは489個のマイクロLEDで表現されるミニディスプレイです。通知に利用される他、カメラ撮影時にはGlyphマトリックスがタイマーの役割を果たします。音量レベルを視覚的に判断したり、NFCの起動をアニメーションで表現したりできます。
▼様々な種類があります
また背面にボタンがあります。長押しで好きなショートカットを割り当てできるといいます。Glyphトイという遊び機能を割り当てできて、Glyphマトリックスを使ったゲームができます。
▼ボタンを押すとGlyphマトリックスはゲーム表示モードになります
性能
準フラグシップSoCのSnapdragon 8s Gen 4が採用されています。前モデルのNothing Phone (2)(Snapdragon 8+Gen1)と比較してCPU性能は36%、GPUは80%、AI性能は60%向上しているとします。
先日Xiaomiが公表した同チップ搭載のPOCO F7のAnTuTuベンチマークは2,084,535点とされており、Snapdragon 8 Eliteに迫る高性能です。
▼Xiaomiによる公称値
メモリとストレージは12GB/256GBに加えて16GB/512GBのオプションもあって、申し分ないです。Nothingブランドをメインとしてガッツリと使いたい人に向けたニーズが用意されています。
カメラ
ペリスコープ望遠カメラ(光学3倍)を含むトリプルレンズです。インカメも含めてすべて5000万画素です。望遠レンズは光学手ぶれ補正に対応しており、マクロ撮影から最大60倍のズームも可能です。撮影した映像はAIによる補正が自動で行えます。
▼録画時には赤いライトが点灯するといいます。
Essential ボタン
デバイス上にはEssential Space という、プライバシーに配慮したパーソナル空間が存在します。ユーザーにとって必要な毎日のタスクやリマインドなど、AIがローカルで管理してくれます。議事録の要約なども行えます。
▼Essential Space
右サイドの電源ボタンの下にはEssential ボタンという物理ボタンがあり、これを2回押しすることで呼び出し可能です。
▼1回押すとスクショが取れるそうです。
朗報!おサイフケータイ対応
日本ではまだ発表されていませんが、英公式サイトではおサイフケータイへの対応が明記されています。当然NFCも搭載しています。
廉価モデルのNothing Phone (2a)からおサイフケータイに対応したため、Nothingのフラグシップが対応するのは初です。
急速充電
最大65WでPPSなど汎用規格の急速充電に対応しています。20分以内に50%まで充電できるとしています。前モデルのNothing Phone (2) は最大45Wで、44%速くなったとしています。またUSB-Cは30000回の抜き差しテストを行っているとしています。
ワイヤレス充電は据え置きです。充電速度は15Wのままで、5Wの逆充電もできてNothing Earなどを充電可能です。
長期サポート
Android OSのバージョンアップデートは最長5年です。Android 15を搭載して発売されるため、Android 20までです。またセキュリティパッチの更新は7年間行われるため、2032年まで使えます。
昨今のハイエンドはサポートが長期化しており、Nothingのような新鋭ブランドでも7年間のサポートを保証するのはすごいことです。サポート切れに心配することなく使えるため、購入のタイミングが発売から数年経った後でも大丈夫です。
Nothig Phone 2と比較して
▼重要項目を書き出しです
項目 | Nothing Phone (3) | Nothing Phone (2) |
---|---|---|
SoC | Snapdragon 8s Gen 4 | Snapdragon 8+ Gen 1 |
AnTuTu | 約200万 | 約130万 |
容量 | – 12GB/256GB 16GB/512GB |
8GB/128GB 12GB/256GB 12GB/512GB |
ストレージ速度 | UFS 4.0 | UFS 3.1 |
画面保護 | Corning Gorilla Glass 7i | Corning® Gorilla Glass 5 |
明るさ | 屋外輝度1600nit ピーク輝度4500nit |
屋外輝度1000nit 1600nit |
タッチレート | タッチサンプリング:1000Hz | タッチサンプリング:240Hz |
充電速度 | 65W | 45W |
バッテリー容量 | 5150 mAh | 4700 mAh |
望遠カメラ | 光学3倍ペリスコープ | なし |
防水 | IP68 | IP54 |
おサイフ | 対応 | 非対応 |
重さ | 218g | 200g |
ネットワーク | Wi-Fi 7 / Bluetooth 6.0 | Wi-Fi 6 / Bluetooth 5.4 |
eSIM | 対応 | 非対応 |
OS保証 | Androidバージョンアップ5年 セキュリティパッチ7年 |
Androidバージョンアップ3年 セキュリティパッチ4年 |
ところどころ妥協が感じられたNothing Phone (2)から、性能の向上はもちろんとして、望遠レンズの追加などほぼ最新スマホと遜色ないスマホになりました。
完全防水への対応、おサイフケータイ、長期サポート化など重要な部分が外すことなくアップグレードされています。
一方でサイズ感は同じですが重量がややアップしています。ペリスコープカメラの追加などがあったので仕方ないですが。
販売と価格
日本円の正式な価格は不明です。
価格は799ポンドからとなっています。Nothing Phone (2) は128GBが579ポンドから、256GBが699ポンドでした。容量でみると100ポンドの値上げです。日本円では税込み127,000円程度からとなりそうです。
▼現時点のイギリスおよびアメリカの販売価格です
容量 | 英価格 |
---|---|
12GB/256GB | £799 / $799 |
16GB/512GB | £899 / $899 |
終わり
望遠レンズの追加や、純粋な性能向上などあらゆる項目が改善された、正統派な進化を遂げている一方で、背面ディスプレイや物理ボタンが新たに2つ追加されるなど、消費者を飽きさせない工夫が凝らされています。
販売価格は上がったものの、おサイフケータイへの対応やサポートの長期化によってコスパがむしろ良くなっているとさえ感じます。フラグシップモデルとしては10万円台前半で買えるため、他のメーカーと比べればまだまだ安いと思います。
日本での発売を待ちましょう。
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