Google Pixel 9aを自腹でレビューします。
- 対象モデル:国内版 8GB/128GB Porcelin キャリア版
大人気Pixel aシリーズの最新版です。執筆時では価格コムのスマートフォンランキング第1位で安定の人気機種です。多くの方が購入を検討していると思います。
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価格
大きく分けてSIMフリー版、キャリアモデルのdocomo版、au版、softbank版の計4種類があります。どれも製品自体は同じ仕様になっています。
SIMフリーモデルはGoogleが運営するGoogleストアで購入できます。
キャリアモデルはdocomo(ahamo)、au、softbankで購入可能です。サブブランドのUQmobileやYmobileでは今のところ購入できません。
Pixel 9aの通常価格 | ||||
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構成/機種 | SIMフリー版 | docomo | au | ソフトバンク |
8GB/128GB | 79,900円 | 79,860円 | 80,000円 | 88,560円 |
8GB/256GB | 94,900円 | 103,510円 | 98,000円 | 105,120円 |
auの256GBモデルはauオンライン限定です。
執筆時現在ではauへのMNP乗り換えで128GBモデルが40,400円で購入できます。
詳細なスペック
基本情報 | |
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機種名 | Google Pixel 9a |
メーカー | |
発売日 | 2025/04/16 |
プロセッサー | |
SoC | Google Tensor G4 (Samsung 4nm) |
CPU | 1x Cortex-X4@3.10GHz 3x Cortex-A720@2.60GHz 4x Cortex-A520@1.95GHz |
GPU | Mali-G715 MP7 |
NPU | Tensor Proceccing Unit 第3世代 |
メモリ情報 | |
構成 | 8GB/128GB 8GB/256GB(Peony色を除く) |
規格 | メモリ:LPDDR5X-4200MHz |
ストレージ:UFS 3.1 | |
外部ストレージ | – |
ディスプレイ | |
画面 | 6.24インチ/pOLED 2424×1080/20:9/422.2dpi Corning Gorilla Glass 3 |
明るさ | 最大輝度1800nit/ピーク輝度2700nit |
リフレッシュレート | 60Hz/可変60-120Hz/最小30Hz タッチサンプリングレート240Hz |
外観 | |
本体素材 | フレーム:メタル 背面:マットガラス |
サイズ | 154.7 x 73.3 x 8.9 mm |
重さ | 185.9 g |
カラー | Iris(青紫) Obcidian(黒) Porcelian(白) Peony(ピンク) |
カメラ | |
メインカメラ | 48MP/26mm/光学手ブレ補正 センサーサイズ:1/2 マクロ撮影 |
超広角カメラ | 13MP/15mm センサーサイズ:1/3.1 |
動画撮影 | 4K@30,60fps 1080p@30,60fp |
インカメ | 13MP 動画撮影:4K@30fps |
バッテリー | |
容量 | 5100mAh |
充電 | 最大23W |
ワイヤレス | 対応 |
通信機能 | |
ネットワーク | Wi-Fi 6E /Bluetooth 5.3 |
SIM | nanoSIM x1/eSIM |
おサイフケータイ | あり |
便利な機能 | |
通話録音 | なし |
カメラ無音化 | なし |
バッテリーサイクル | 表示あり |
2回タップ点灯/消灯 | なし |
デュアルアプリ | なし |
仮想メモリ | なし |
画面色温度の調節 | なし |
パフォーマンス切替 | なし |
アプリ毎の音量調節 | なし |
便利なスクショ | 背面を2回タップ |
バッテリー保護 | 80%止め |
その他 | |
スピーカー | ステレオ |
USB | USB 3.2 |
防水 | IP68 |
生体認証 | 顔認証 指紋認証(画面内) |
サポート | |
OS | Android 15 |
アップデート保証 | 7年間のOSメジャーアップデート 7年間のセキュリティアップデート |
付属品 | USB-C ケーブル(USB 2.0) SIMピン |
外観
本体カラーはPorcelainです。色はベタっとした感じがなく、ぼやけた白が高級感を醸し出しています。
背面素材はマット仕上げのガラスになりました。樹脂素材だったPixel 8aまでと違って、ガラス素材となったことで質感と耐久性が大幅に向上しています。ハイエンドにも劣らないデザインです。
最大の特徴はカメラの出っ張りがなくなったことです。現行のどのスマホよりもスッキリとしたカメラデザインが非常に印象的です。カメラの出っ張りを引っ込めたスマホデザインのお手本だと思います。
画面比率は約20:9で縦長です。ご覧の通りベゼルが太めなので6.24インチという比較的小型サイズの割に横幅が大きいです。
ディスプレイはHDRコンテンツの再生に対応しています。非常に明るく色鮮やかでキレイな映像を視聴できます。
側面は艶消しのメタルフレームで、手に持ったときのひんやりした金属特有の触感、重厚感が良いです。
サイドボタンの配置は右側上から「電源ボタン」「音量ボタン」です。Pixelシリーズは一般的なAndroidスマホとは電源ボタンと音量ボタンの配置が上下逆になっていることに注意してください。
SIMカードスロットは左下にあります。SIMトレイはカードの装着がしやすいです。
本体の重量は実測で185gでした。
付属品
USB-C 2.0ケーブル(1m)とSIMピンのみです。充電器やケース、フィルムは付属しません。
化粧箱や内部の包装など、梱包材はすべてプラスチックフリー素材で、再生紙を中心としたリサイクル素材です。グローバルな企業だけあって地球環境への配慮も行き届いています。
Pixel 8aまでと違い、新品時は化粧箱がシールで密封されているため、開封後は跡が残るようになりました。正規以外で未使用品を購入する際はこの点にお気をつけください。
ベンチマーク
ベンチマークではリフレッシュレートはスムーズディスプレイ(最大120Hz)で測定しています。
AnTuTu 10
AnTuTu v10.4.9を連続で3回実行した結果です。室温20度未満の涼しい日の室内で測りました。
1回目は1207561点、2回目1037717点、3回目は956651点となりました。CPUスコア、ストレージ速度が大幅に低下しています。CPU温度の推移を見るに、スロットリングにより冷却していると思われます。GPUはそこそこ強く、描画の乱れもありませんでした。
夏場はクーラーの効いた部屋で使用することを推奨します。
気温が30度に近い日中に3回連続で回した結果です。
1回目が1102011点、2回目が875219点、3回目が881875点です。
GPUスコアは維持できていますが、CPUが大幅に低下しています。
AnTuTu Storage Test(ストレージ測定)
AnTuTu Storage Test v10.4.9です。
- シーケンシャルリード:1851MB/s
- シーケンシャルライト:916MB/s
- ランダムリード:464MB/s
- ランダムライト:496MB/s
UFS3.1ストレージを搭載しています。シーケンシャルライトがやや低いですが、ランダムアクセスはUFS3.1としては良好なスコアです。今はより高速なUFS4.0ストレージがあるため、ストレージ速度の評価は普通です。
AITuTu(AI性能測定)
AI機能を測定するAITuTuベンチマークでは111518点でした。Google TensorのNPUであるTensor Procecing Unitは最適化されていないと思われます。
CPDTベンチ(メモリ帯域)
CPDTベンチマークでメモリの速度を見ていきます。メモリはLPDDR5X-4200MHzです。
メモリのコピー速度は16.20GB/sとかなり高速でした。
Google Octane2.0(CPU測定)
ブラウザ上でCPU性能(シングルスコア)を測定します。マルチコア性能を測定できるGoogle Octane Plusも測定しました。
シングルスコアは57473点、マルチスコアは329,196点を記録しました。Snadpragon 8 gen 1とほぼ同じです。Tensor G3からは1割以上もスコアを伸ばしています。同じGoogle Tensor G4を搭載するPixel 9 Pro XLでは63194点を記録しており、より高性能です。
発熱時でも20%程度の低下なので比較的マシです。
バッテリー持ち
バッテリーテスト | |
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ブラウジング 100%→20% |
17時間30分 |
オフライン動画再生 10%減 |
2時間48分、推定で最大28時間 |
ライブ配信 10%減 |
2時間35分、推定で最大25時間50分 |
当サイトの計測では「輝度50%」「リフレッシュレート可変120Hz」「Wi-Fi接続」としています。
一般的なブラウジングで17時間30分を記録しました。公称値の30時間以上には及びませんが、8時間程度の睡眠時間を考慮すれば待機時間を含めて達成できそうです。
オフライン動画再生では1080p@24fpsのアニメを横画面で連続再生して電池10%減にかかった時間を調べています。結果は2時間48分でした。推定で28時間の動画再生が可能です。
最後に同じ条件でライブストリーミング再生でバッテリー10%減少にかかった時間です。ライブニュースを専用アプリにて縦画面で表示してかかった時間を調べています。2時間35分でした。推定で最大25時間50分可能です。ライブ配信も問題なく、モデムの省電力性も良好と言えます。
特徴
画面の明るさ
公称値1800nitとあるように非常に明るかったです。ただ最大輝度の持続時間は短かったですが、それでも屋外での視認性は十分良いです。真夏の炎天下でも大丈夫だと思われます。
リフレッシュレート
60Hzまたはスムーズディスプレイ(可変60-120Hz)が選択できます。
公称スペックでは60-120Hzとなっていますが「時間と情報を常に表示」のときは30Hzに落ちました。
タッチサンプリングレートは当サイトの計測では250Hzでした。
充電は最大23W
充電速度の公称値は最大23Wとなっています。「グーグルが販売する純正45W充電器に繋いだ場合」とあるので、おそらくUSB-PD 3.0 PPSでの速度です。
USB-PD 3.0 PPSに対応した充電器で20%から30%までの充電時間を測定しました。
所要時間は5分43秒でした。急ぎの際でも、そこそこ速く溜まります。
20%からの満充電の推定時刻は約1時間30分と表示されました。
バッテリーの保護
充電80%止めができます。
この状態でケーブルに繋いでadb Shell Dumpsys BatteryでCurrent Battery Service state:
見てみると内部的にはstatus:4
の状態でした。当サイトでは直接給電モードと呼んでいます。
このデバイスでのadb shell dumpsys batteryコマンドでは次のような出力でした。
この出力でバッテリー最大容量を知ることができます。Charger counter:
の値を1000で割った余りが、コマンド出力時点のバッテリー残量(%)におけるバッテリー容量です。満充電してから測定すると良いです。正確な値を知るには何度かフル充電を繰り返す必要があります。コマンド出力時点のバッテリー残量(%)はlevel:
に記録されています。
顔・指紋認証は爆速
顔認証は爆速です。指紋認証は画面オフのままできないのでやや時間がかかります。
指紋センサーは画面の中央に近い場所にあるため押しやすいです。また濡れた薄いゴム手袋の上からでも反応したので光学式だと思われます。指紋登録は4つまでです。
PixelのOS
Pixel Launcherを搭載しています。できることは少ないですが、設定画面は非常にシンプルで洗礼されており初めてスマホを使う人にもおすすめできます。
初期状態
非常にシンプルでプレインストールアプリなどは少ないです。Google・Android OS関連のソフトウェアしか搭載していません。
オフラインでセットアップした直後の容量は20GBでした。OSが軽いので128GBしかなくても何とかなるかなと思います。
ランチャー
Pixel Launcherです。カスタマイズ出来る箇所はほとんどありません。アプリアイコンの配列は4列固定です。画面下の検索バーは消せません。
色温度
色温度の調節等はサポートされていません。画面はやや黄みがかった暖色系かなと思います。
AI機能
かこって検索を始め、消しゴムマジックなど多数のAI機能が利用できます。どれも現在のスマホでは最高を行くものだと思います。
消しゴムマジックは非常に早かったです。
オブジェクト消去の精度も違和感が少なく実用的な範疇です。
カメラ
シャッター音
スクリーンショットはマナーモードをオンにしておくことで消音にできます。
カメラはシャッター音を消すことはできません。カメラはビトッという鈍い音がします。そこまで大きくないので気にする必要はないと思います。
カメラ
相変わらずカメラは良いです。センサーサイズが1/2とPixel 8aよりも小型化していますが、それを感じさせない良さがありました。色味はナチュラルに近いです。
ナイトモード撮影は圧巻でした。ナイトモードの補正なしでは暗くて何も見えませんが、ナイトモードの補正を利用すれば肉眼以上に鮮明な写真が撮れます。
ナイトモードオフのときとの比較を置いておきます。
マクロ撮影可能です。メインレンズで被写体に近づくとパンチホール左に花のマークが表示されマクロ撮影モードに切り替わります。
2倍クロップズームでより鮮明なマクロ撮影ができます。
総評
Pixel 8aまでとは一味違う、背面のマットガラスと側面のメタルフレームで高級感を醸し出しています。廉価モデルながら所有欲を満たしてくれました。またaシリーズながらカメラの出っ張りがない独自のデザインで、Pixel 9aの廉価版という枠組みを超えた仕上がりです。
120Hzディスプレイでヌルヌルと動くので、Pixel 6aやPixel 7aあたりから買い替えする人は大きく進化が感じられると思います。バッテリー持ちもかなり良くて、その上にバイパスチャージまで備えています。7年間という長いサポート期間でも電池持ちの面では大丈夫そうです。
一方で性能は十分良い部類ですが、メモリやストレージの少なさには少々がっかりしています。Pixel 9と同じくRAM12GBであればとても良いデバイスでした。
またディスプレイはベゼルの太さやゴリラガラス3のままなどは、次期Pixel10aに向けた改善の余地を残している事と願います。
・カメラの出っ張りが全くない
・高級感がある筐体
・実用的なAI機能が充実
・カメラがキレイ
・サポート期間が長い
・メモリやストレージが少ない
・高温環境に弱い
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