今回は今話題 motorola edge 50s pro の有益な機能「直接給電」を徹底検証します。
motorola edge 50s pro のレビュー記事の抜粋と加筆です。
- 検証バージョン:セキュリティパッチレベル2025年5月1日 V1UMS35H.10-67-1-3
直接給電の確認
当サイトでは motorola edge 50s pro に直接給電(バイパス充電)の機能が備わっていることを確認しました。設定でバッテリー80%止めを意味する「過充電の防止」をオンすることで自動で有効になります。その状態でUSBケーブルを接続して電力を供給しながらスマホを利用すれば、バッテリーを充電することなく直接給電(バイパス充電 または パススルーとも)されます。
▼直接給電(バイパス充電)モードとなっている場合は充電マークに盾が表示されます
このとき内部の仕組みを確認すると、 adb shell dumpsys battery のコマンドで出力されるパラメータのCurrent Battery Service state:
ではstatus:4
となっています。
この状態における直接給電のような現象は他メーカーのデバイスでも確認しています。
▼dumpsys battery コマンドの説明・検証はこれらの記事へ
【2025】Samsung Galaxyでバッテリー充電回数を調べる『adb shell dumpsys battery』コマンド
Samsung Galaxyは充電しっぱなしで使用しても良い。「バッテリーを保護」で直接給電されている可能性が
motorola edge 50s pro の充電仕様
motorola edge 50s pro の充電仕様からおさらいします。付属の純正アダプターでは125Wとなりますが、Turbo Power という独自規格です。
一方でmotorola edeg 50s pro は汎用規格USB-PD 3.0 PPSでも100W以上の急速充電に対応しており、市販の汎用充電器で直接給電(バイパス給電)が試せました。
バイパス充電中はPPS表記となっています。
▼USBテスターで検証(純正充電器&純正ケーブルです)
USBテスターによれば9V/3AのPPSで充電されているので、少なくともこの電力が供給できるアダプターを用いたほうが良さそうです。
しかし必ずしも必要というわけでもなさそうで、PPS非対応のUSB-PD2.0のみのACアダプターの場合でも、status:4
が確認できました。
▼結果です
ちなみにQC3.0では充電自体ままならない不安定な状態でした。
status;4
の状態のとき、メーカーによってはUSB-PD 3.0だったりするので内部的な仕様は色々と異なるみたいですが、どれでも直接給電を実現できていそうです。
とりあえず、一般メーカーでPPS対応の充電器と、USB-PD対応のケーブルであれば代用可能です。
検証用デバイス
次の検証用のデバイスを用いています。
▼UGREEN Nexode 100W、CIO LilNob 65W、いずれもPPSに対応しています。
UGREEN Nexode GaN 100W CD254
CIO LilNob 65W
UGREEN 100WでもUSBが4ポートの製品はPPSに対応していないので要注意です。
ケーブルはUSB-PD100W対応であればOKです。LEDディスプレイ インジゲーターのついたものがあれば電力供給の様子を可視化できて便利です。直接給電をチェックする場合はこういうケーブルを使うことを推奨します。
▼ナイロン質は丈夫で断線しにくいです
Toocki USB-C ケーブル100W LEDディスプレイ付きブラック1m
より正確な充電の状況を確認するためにはUSBテスターがあると好ましいです。KOWSIというメーカーのUSBテスターが安価で高機能です。USBPDやPPS、QCなど充電プロトコルを表示する機能が備わっていて、比較的安い製品を紹介しておきます。
▼Amazonで購入すれば日本語の説明書が同梱されており使いやすいです
▼より安価なKOWSI製のUSBテスターもありますが、PPSやPDなど充電プロトコルの確認などはできません。
直接給電の仕様は82%未満
motorola edge 50s pro の変わった仕様です。
「過充電の防止」をオンにした状態では81%で充電が停止されますが、バッテリー残量が82%以上の場合は電力供給が止まります。そのためこの状態で電源に繋いでいても直接給電とはならず、バッテリーを消耗します。81%まで低下すると電源から電力の供給が行われ、直接給電(バイパス充電)状態となります。なので実質バッテリー残量が81%の状態でのみ直接給電(バイパス充電)が利用可能となります。
▼電池残量82%では電力がほぼ停止しており、バッテリーも消耗しています(充電電流の項目)
注意点として「過充電の防止」をオンにしてから電源に繋いでも、充電マークから直接給電(バイパス充電)を意味する盾に切り替わるまでは少しラグがあります。充電速度が凄まじく速い機種なので、高出力のUSBアダプターを利用していると切り替わるまでの間に82%以上となってしまうこともしばしば。
dumpsys battery コマンドの結果
motorola edge 50s pro をACアダプター接続中にこの adb shell dumpsys battery コマンドで出力されたデータは次のようになりました。(ワイヤレスデバッグ利用)
▼以下がコマンドの出力です
Current Battery Service state: AC powered: true USB powered: false Wireless powered: false Dock powered: false Max charging current: 5000000 Max charging voltage: 9000000 Charge counter: 3523000 status: 4 health: 2 present: true level: 81 scale: 100 voltage: 4154 temperature: 320 technology: Li-ion Charging state: 0 Charging policy: 0 vbus state: true lpd state: false cid state: 0 Full capacity: 4365000 Full design capacity: 4365000 charge watt: 55 last charge watt: 55 AdaptiveCharging: config package:com.motorola.actions, mUpperLimit:80, mLowerLimit:-1, mChargingDisabled:true, mLastLimitsUpdateTime:296513187 (37737712 ms ago), mLastChargingStatusChangedTime:296513883 (37737016 ms ago), Health service:com.motorola.server.health.MotoHealthServiceWrapperHidl@6598443 charge watt design: 125 last charge watt design: 125 charge type: 8 cycle count: 2 charge counter property: 3523000 current now property: 0 current average property: 0 capacity property: 81 energy counter property: 81 status property: 4 RemoteException on getProperty!
見るべき箇所
・cycle count:
地味にバッテリーサイクルがcycle count:
に記録されています。通常のスマホ操作では充電サイクルは閲覧できません。OS側に表示されれば便利なのですが。
・Full capacity:
Full capacity:
はバッテリー最大容量が表示されています。charger counter:
を1000で割った値から現在のバッテリー容量の確認もできます。
・charge watt:
charge watt:
には接続中の充電プロトコルによるワット数が表示されます。ここではCIO LilNob 65W(CIO-G65W2C1A)を使っていたので、PPSの出力範囲(11V/5A=55W)で充電されていました。
・ current now property:
ここがマイナスであれば”バッテリー放電中”、プラスであれば”バッテリー充電中”です。ダイレクト給電中は0になるはずです。(時々マイナスになります)
・charge type:
充電プロトコルを見分けています。USB-PD2.0なら6、PD3.0なら7、PPSなら8でした。QCなど別のプロトコルでは異なると思います。
・temperature:
ここで現在の温度を確認できます。10で割った値が度(℃)です。
パフォーマンスへの影響
ノートPCでは電源駆動でパフォーマンスが引き上げされたりもします。motorola edge 50s pro の場合はどうなのか検証しました。CPUシングルスコアを測定できるブラウザベンチマークのGoogle Octane 2.0 で試します。電力設定やクロック数でパフォーマンス差が顕著に出るベンチマークです。
▼結果(左:電源駆動、右:バッテリー駆動)
電源駆動では42690点、バッテリー駆動では43295点でした。どちらともにパフォーマンスは同じぐらいで大きな変化はありません。
特に影響はないと考えて良いです。
終わり
今回は motorola edge 50s pro の直接給電(バイパス充電)について調べてみました。まだまだ謎が多く、完全に解明はできていませんが、だいたいUSB-PD対応充電器であればOKなようです。
使用中はバッテリーを介さないため温度が下がって冷たい印象です。この状態をうまく活用することでデバイスを傷めず長期的に利用できます。
まだ持っていない人は朗報です。2025年6月27日現在でmotorola edge 50s pro は未使用品が2万円台まで値下がっており、お買い得です。
防水とおサイフケータイ対応で、256GBストレージと十分で望遠レンズなど豪華機能を備えています。バイパス充電もできるとなればとても良い製品だと思います。
▼エッジディスプレイなのでハイドロゲルフィルムが特にオススメです
motorola edge 50 pro / 50s pro ハイドロゲルフィルム2枚入り
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